膨張性ウレタン樹脂注入工法 | 沈下修正・地盤沈下・軟弱地盤ならウレテック

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膨張性ウレタン樹脂注入による沈下修正工法は、元々工場や倉庫などの土間床のたわみや傾き修正に用いられていた工法である。

ウレタン樹脂による沈下修正工事は、図1に示すように土間コンクリート直下に膨張性ウレタン樹脂を注入することにより、その化学反応時に発生する膨張力を利用して、たわみや傾きを修正している。戸建住宅のベタ基礎形式は、土間床同様基礎が面構造であることから、ウレタン樹脂による修正工法を戸建住宅にも適用している。

一方、ジャッキ系工法は、ベタ基礎形式の戸建住宅の沈下修正時には、図2のように建物内側のジャッキ設置箇所では、基礎面下でのトンネル掘削が必然となり、多大な土砂掘削による施工性に問題がある。

『膨張性ウレタン樹脂注入工法+他工法併用工法』は、上記のジャッキ系工法の問題点を解消する発想から生じたベタ基礎に特化した工法であり、2つの専門業者による新しいコラボ工法である。

図1 膨張性ウレタン樹脂による土間床修正

ウレタン樹脂による沈下修正工事

図2 ジャッキ工法時の基礎下トンネル掘削

ジャッキ系工法



ウレタン樹脂の特徴

沈下修正に用いるウレタン樹脂の特徴を表1に示す。

表1

ウレタン樹脂の長所 1比重が0.1~0.2g/cm3と水の1/5~1/10と軽い。注入後にはほとんど増加荷重とはならず地盤への負荷は少ない。
2樹脂の硬化は、数秒~十数秒から発生し、30分後には重荷重作業も問題ない。
3自己膨張により空隙部を確実に充填する。基礎下空隙を解消し、基礎荷重は確実に地盤に伝達される。
4形成樹脂の圧縮強度は400~1000kN/m2以上で、住宅荷重に対し全く問題ない。
5注入された樹脂は基礎下で直径1.5~2.0m程度広がり、ジャッキ数基分の持ち上げ力を発揮する。
ウレタン樹脂の難点 1沈下修正高が大きくなるほど樹脂量は多くなる。(樹脂のみの修正では80mm程度まで)
2セメント系材料に比較し材料単価が高い。使用料が多くなる場合は併用工法となる。
3外壁荷重が大きい基礎ハンチ部は、その直下からの持ち上げでないことより修正精度にやや欠ける。

上記特性のウレタン樹脂のみの施工では、沈下修正髙の施工限界が小さいことからも、本工法の開発に至っている。

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併用工法概要

本工法は図3に示すように、ベタ基礎住宅の外周部をジャッキ系工法によりリフトアップし、建物内部側を膨張性ウレタン樹脂により同時にリフトフップする方法である。
施工は、個別住宅の傾き修正、沈下修正工法であり、地盤強化、液状化対策は伴っていない。

併用工法で用いる各種ジャッキ工法

本工法の住宅外周部でのジャッキ工法は、表層部で支持力が得られる場合は耐圧板工法、支持地盤が深い場合は、アンダーピニング、サイドピニング工法などと地盤条件、建物荷重により使い分けられる。

図-3 併用工法概略図
併用工法概略図

耐圧板工法 アンダーピニング工法 サイドピニング(ヘリカルピア) サイドピニング(PUBB工法)
耐圧板工法アンダーピニング
工法
サイドピニング
(ヘリカルピア)
サイドピニング
(PUBB工法)

施工手順

本工法の施工手順を図4のフロー図に示す。
施工手順は、基本ジャッキ工法の手順に準ずるものであるが、ジャッキ工法単独の場合とは以下の異なりがある。

工法の特徴

本工法の特徴は、次のとおりである。

沈下修正時にウレタン樹脂注入との併用でリフトアップ。

掘削土埋め戻し後、リフトアップにより生じた空隙の充填作業はない。
(ウレタン樹脂で充填済み)

図4 併用工法の施工フロー
併用工法の施工フロー

併用工法の施工フロー1

併用工法の施工フロー2

併用工法の施工フロー3

併用工法の施工フロー4

併用工法の施工フロー5

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施工事例①(千葉県N邸,耐圧板+樹脂併用)

被害,地盤の状況

N邸は、今回の東日本大震災に伴う液状化により、東側隣地で噴砂が発生し同方向に住宅が傾いている。 地震後のスウェーデン式サウンディング(SWS)試験では、最も沈下している北東側でも、表層約2.5m間の地盤が換算N値=5以上と安定して、地震前とほぼ変化がないことから、表層での沈下修正工法が可能である。(図5,図6)

図5 N邸沈下状況
N邸沈下状況

N邸建物概要

場 所千葉県浦安市
用 途個人住宅
構造種別木造2階
基礎構造直接基礎:ベタ基礎(表層改良なし)
建築面積1階:65.68m2 
2階:47.00m2 延 112.68m2
最大傾斜角14.2/1000
最大沈下量151mm

図6 N邸地震前後の地盤データ
N邸地震前後の地盤データ

沈下修正工

N邸の沈下修正工法は、表層部地盤が安定していることより、耐圧板工法、ウレタン樹脂注入+耐圧板工法の2通りの工法が提案されたが、工期が短い、掘削土量が少ない、施工金額が安価などより併用工での施工となった。


表3 N邸での耐圧板工法と併用工法の比較

耐圧版単独施工時の設置併用工法時
耐圧板配置耐圧板単独工法耐圧板単独工法
耐圧板数27箇所(うち建物内部側8箇所)17箇所
トンネル11.5mなし
堀削土量16.7m³(トンネル部約7m³)約6m³(単独工法の1/3)
工期23日(作業員4人施工)8日
全額約450万約350万

施工内容

図7 N邸沈下修正計画図
N邸沈下修正計画図

1)建物外周部の耐圧板

・耐圧板工法:17箇所 (500×500×18mm)
図7に耐圧板の配置とウレタン樹脂注入位置を示す。耐圧板の設置は,建物外周部にほぼ1.0間から1.5間ピッチで,建物の荷重を考慮した配置。

2)建物内部のウレタン樹脂注入

ウレタン樹脂注入は,床下で作業員が基礎にφ16mmの穴を削孔してそこから樹脂を注入する。
ウレタン樹脂注入に必要な材料,機材は,2tトラックベースのプラント車輛内に一式が積載され,狭い住宅地での施工も可能である。(写真)
・ウレタン樹脂注入箇所:14点
・樹脂注入量 : 372kg (原液重量測定による)
 ウレタン樹脂注入位置は,ジャッキの配置とのバランスで個別に計画する。建物の沈下側のほか,階段,浴室,通し柱位置など荷重が大きい地点ではリフトアップ用注入となり,その他は空隙の充填的要素で注入を行った。

工事期間

 沈下修正工事所要日数は8日であった。

工事期間耐圧板設置工5日
沈下修正工(樹脂注入) 1日
ジャッキ定着,復旧,片付け工2日
施工精度床高さ測定値:±0~-3mmで修正
床下でのウレタン樹脂状況 プラント車輛 基礎下に注入されたウレタン樹脂
床下でのウレタン樹脂状況 プラント車輛 基礎下に注入された
ウレタン樹脂
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施工事例②(千葉県K邸,サイドピニング+樹脂併用)

被害,地盤の状況

K邸も、東日本大震災に伴う液状化被害により傾いた住宅である。
地震後に実施したスウェーデン式サウンディング(SWS)試験では、GL-1.0m以下地盤が建築時の地盤状況に比べ換算N値=4前後と余り良好でなく、建物も3階建てであることから沈下修正にはGL-8.0m以深の地盤に反力を求める必要がある。(図8,図9)
隣地との敷地余裕は60cmで、実作業の有効幅は50cmと狭い条件である。

表4 K邸建物概要

場 所千葉県浦安市用 途個人住宅
構造種別木造3階基礎構造直接基礎:ベタ基礎(表層改良なし)
建築面積1階:79.49m2 2階:63.76m2 最大傾斜角17.7/1000
3階:45.91m2 延 189.16m2最大沈下量219mm

沈下修正工

沈下修正工は、反力が得られる地盤条件および狭小地条件により、狭小地施工が可能なサイドピニング(ヘリカルピア工法)+ウレタン樹脂の併用工法での実施となった。

図8 K邸沈下修正計画図

K邸沈下修正計画図

図9 K邸地震前後の地盤データ
K邸地震前後の地盤データ

施工内容

1)建物外周部のサイドピニング 

・ヘリカルピア工法:21箇所 (最大杭長L=9700mm,25-30ツインヘリックス、長期許容支持力62kN/本)
図8にヘリカルピアの配置と樹脂注入位置を示す。ヘリカルピアの設置は建物外周部にほぼ1.0間ピッチで、建物の荷重を考慮した配置。

2)建物内部のウレタン樹脂注入

・ウレタン樹脂注入箇所:16点
・樹脂注入量 : 956kg (原液重量測定による)

工事期間

沈下修正工事所要日数は8日であった。

工事期間ヘリカルピア工法5日
沈下修正工(樹脂注入) 2日
ジャッキ定着、復旧、片付け工1日
沈下修正工事 沈下修正工事

施工精度

床高さ測定値:+2~-1mmで修正。

膨張性ウレタン樹脂+他工法の併用工法の施工概要および施工事例を2例紹介させて頂いたが、いずれの工事も8日と短い工期で沈下修正を終了している。
本工法はベタ基礎に特化した工法であるが、ウレタン樹脂注入工法とジャッキ系工法が協力することにより、各々単独での施工もさることながら、それぞれの組み合わせにより幾通りかの修正工法の提案と、短期間での施工が可能である。
今回の地震により被災し傾き修正工事を望まれる住宅戸数は数万棟以上ともいわれ、今後数年は住宅の修正工事が必要とされている。弊社では,戸別の各種条件に最適で且つお客様の要望を満足する工法の選定,提案とともに、より安価で、より確実な施工により、大切なご自宅を丁寧かつ誠意を持って修正を行い、お客様の笑顔を引き出す工事に取り組んでいく所存である。

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